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積読傾向を是正する日々

積読傾向を是正する日々_d0020789_1054611.jpg「一月物語」
敬愛するR姉さんがご自身のブログでこの本について記述しておられたので手にとろうとするものの近場の書店にはなかったのですが、府営図書館のヘビーユーザーである末娘が著者である平野敬一郎という名前を覚えていたらしく「日蝕」と「一月物語」を借りてきてくれていました。

「日蝕」は平野氏が京大在学中に書かれたもので芥川賞を受賞した作品です。それより先に「一月物語」でしょうと読む訣ですが、これがとんと先に読み進まない。高だか160頁ほどのものなのに数頁読むと疲れてしまう。
(ハードカバーなので老眼のせいではない・・)
平野氏は擬古文を駆使して作品を書かれるようで、先ずこれが慣れていないせいでもあるし、
回りくどい描写が更に拍車を掛けている感がある。
三島の再来とか言われているらしいが、昔の文豪たちの文体とも少し違うと私は思う。
平野的擬古文であり、若い人が多くの古典文学を読み、漁り、早熟な才能と、それをコラボさせる術に長けているという風な印象だ。

半分ほど読んだところで期限切れになり図書館に返却されると思いきや、その足で再び娘は
「一月物語」を借りてきたのである。
どうも、この飽きっぽい母に完読させたいようであります。
再び読み進むとインターバルの長い話もようやっと佳境に入ってきた。
と思いきや、何が本題なのか?何を書きたかったのか?
ストーリーの脈略が欠如していて半幻想の世界と言えども符号しない箇所が多い。
なるほど三島的耽美な世界がちょっとは見え隠れする。
でもそれも似て非なるものであり、結局、不燃した思いだけが残った。

技術的にはすごい。彼の感性もすごい。でも一体何がすごいのかと聞かれると謎であります。
当時の芥川賞選考委員の評を是非読んでみたい。
まあ、一冊読んだくらいで平野敬一郎を語るなっつうとこですな。
でもこの間、書店で見つけた「日蝕」が置いたまんまなのよね。積読になりかねないなあ。

ここはキッチンサイトですし、素人の言うこっちゃですし、もし平野様ファンが
いらっしゃったらごめんなさい。
by hal_84 | 2005-10-03 01:54 | *本のお話